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2021年11月13日土曜日

オスカー・フォン・ロイエンタール「敵のやつらがそんなことに遠慮する理由はないからな」(本伝第29話)

帝国軍によるイゼルローン要塞の奪還を確実にするため、
 ・イゼルローン要塞からヤン・ウェンリーを引き離す
 ・ガイエスブルク要塞を移動要塞化しイゼルローン回廊に大軍を送り込む
という二つの策謀が同時並行で進んでいる頃、帝国軍の双璧、オスカー・フォン・ロイエンタールとウォルフガング・ミッターマイヤーの両提督は、食後の談笑をしていました。

その中で話題に上がったのは、4年前に彼らが初めてローエングラム侯爵ラインハルト(当時は旧姓を名乗っていたため、ラインハルト・フォン・ミューゼル)をその目で見た時の印象でした。彼らの会話は、以下のとおりです。

ミッターマイヤー「どう思う、金髪の小僧とやらを」

ロイエンタール「昔から言うだろう、虎の子を、猫と見誤ることなかれ、と」

ミッターマイヤー「ラインハルト・ミューゼルは、卿の見たところ、虎か、猫か」

ロイエンタール「多分、虎の方だろう。姉が皇帝陛下のご寵愛を受けているとはいえ、敵のやつらがそんなことに遠慮する理由はないからな」

オスカー・フォン・ロイエンタール「敵のやつらがそんなことに遠慮する理由はないからな」(本伝第29話)
『銀河英雄伝説』DVD 本伝第29話 (C) 田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっふ・サントリーより引用

ここで学んだのは、偏見を捨てて客観的に事実を見ることが大事、ということでした。

当時、門閥貴族達の間で、ラインハルト・フォン・ミューゼルの評判は芳しくなく、「金髪の小僧」「姉のスカートの中に隠れている」と揶揄されていました。その評判は、実際に彼が陣頭に立っていくつかの戦いで勝利した後でも、大して変わりませんでした。

他方で、ロイエンタールの見解は適切で、ラインハルトという個人を見る際に、「姉が皇帝の寵姫である」、「飛びぬけて若い(当時はまだ十代)」、「顔が綺麗」といった観点を全て捨てて、ただ「戦いが強いかどうか」という点(つまり、成果)を見ています。また、その成果の測り方も、上官の評価やマスコミの評判などではなく、敵側の視点を用いたものでした。

この一見簡単なことが、現実世界ではなかなか難しいのだと思います。私が中学時代に小説を最初に読んだときは、「門閥貴族達は見る目がない」と、むしろ彼らに人を見る能力がないように思ったものでした。しかし、実際に自分が社会人になって人を見極める側に回った際には、どうしても学歴や風貌といった実績面以外に目が行ってしまいます。このあたり、言うは易く行うは難しの典型だと思います。

この偏見を避けるためには、実際に自分の目で確かめる、例えばビジネスの場合は短期間でも一緒に仕事をしてみる、といった方策が有効だと思います。実際、ファーレンハイトやメルカッツ、ミュッケンベルガーといった面々は、ラインハルトの仕事ぶり・有能ぶりを共に戦い肌で感じることで、偏見にとらわれることなく彼を評価することができるようになりました。(そういう意味では、一度も一緒に仕事をすることなく、ラインハルトを正しく評価できたロイエンタールの慧眼は恐ろしいの一言です)。

さて、ここでのもう一つの学びは、強すぎる光に惑わされない、という点です。

当時、ラインハルトの傍には、いつもキルヒアイスがいました。そして、目立つのは常にラインハルトであり、キルヒアイスは影のような存在で特に誰にも意識されていませんでした。(キルヒアイスに「個人的に」ご執心のヴェストパーレ男爵夫人は例外ですが)。

しかし、キルヒアイスの能力や人望、特に上級大将に昇進してからの彼の活躍は、ラインハルトに勝るとも劣らない素晴らしいものでした。このシーンの続きでロイエンタールが「キルヒアイスの力があれほどとは、さすがに気づかなかった」と述べている通りです。キルヒアイス本人は特に気にしていなかったはずですが、(無視されるという)不当な評価を受けていたと言えます。

どこの世界にも、ラインハルトのような目立つ存在、キルヒアイスのように影に隠れる存在、どちらも居ると思います。そして、目立つから有能、影だから無能、ということではなく、むしろキルヒアイスのような影の存在がラインハルトという光をより輝かせている可能性について、常に意識すべきだと思っています。

2021年10月9日土曜日

ウォルフガング・ミッターマイヤー「なんのことだ、まるで覚えていない」(本伝第28話)

ジークフリート・キルヒアイスが亡くなってから、銀河帝国ではナンバー2の存在がいなくなり、今は疾風ウォルフことミッターマイヤー提督両目の色が異なる(ヘテロクロミア)ロイエンタール提督の二人が、「双璧」と称されていました。

ミッターマイヤーは愛妻家、他方のロイエンタールは女性に冷酷、と、これに限らず何事につけ正反対の彼らですが、逆にウマが合うのか、自他ともに認める親友同士です。

彼らが知り合ったのはお互い軍人になってからです。知り合って程なく、惑星カプチェランカで同盟軍に包囲され、間一髪助かった後に二人は祝杯を挙げますが、その際にロイエンタールは暗い過去、自身の生い立ちについて口を滑らせてしまいます。そのエピソードは、彼の女性に対する冷酷さのルーツになっていたのでした。

友人関係を崩しかねない、非常に暗くつらい話をロイエンタールはしてしまったのですが、それを聞いた翌日の朝のミッターマイヤーの一言が、彼らの親友としての絆を深めたのだと思います。

「夕べは酒の勢いでつまらんことを言った。忘れてくれるとありがたい」。

「なんのことだ、まるで覚えていない」。

ウォルフガング・ミッターマイヤー「なんのことだ、まるで覚えていない」(本伝第28話)
『銀河英雄伝説』DVD 本伝第28話 (C) 田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっふ・サントリーより引用

ここで学んだのは、言動一致が人を引き寄せる、ということでした。

ミッターマイヤーがロイエンタールの話を忘れているわけでは絶対にないのですが、これ以降、彼等の会話でこの件が話題に上がることはありませんでした。そのことが、基本的に人を信用しないロイエンタールの心を更に溶かしたのだと思います。人間同士はモノではないので、お互いの記憶や考えていることを正確に知ることはできません。そのため、外に見える言葉と行動でしか、相手の真実を測ることができません。

ミッターマイヤーが覚えていないと言ってくれたこと、そしてそれを実証するかのように二度と話題にしないこと、この言動一致がとても重要なのだと思います。このことが、ミッターマイヤーがロイエンタールだけでなく、本当に多くの人間から信頼される理由なのだと思います。

そして、もう一つの学びが、本当にお互いなんでも話せる相手の大切さ、です。

ロイエンタールはこの一件で、どんな話をしてもミッターマイヤーは受け入れてくれることを知りました。ミッターマイヤーはロイエンタールにとって、彼の中に渦巻く暗い部分の捌け口になりました。しかし、数年後、ロイエンタールとミッターマイヤーは離れ離れになり、最終的にロイエンタールは良からぬ方向へ進んでしまいます。その時にロイエンタールの傍らにいたのはベルゲングリューンでしたが、ベルゲングリューンはミッターマイヤーほど対等な捌け口にはなりえませんでした。

たった一人の人物が傍にいるかいないかで、その人の人生が大きく変わる。そんなことを学んだワンシーンだったと思います。

2021年9月19日日曜日

オリビエ・ポプラン「お前らひよっこは三機一組で一機を袋叩きにする、それが基本だ」(本伝第27話)

銀河帝国におけるリップシュタット戦役(門閥貴族の叛乱)と、自由惑星同盟におけるクーデターが終息しました。帝国はローエングラム侯ラインハルトを宰相とする専制政治に移行し、同盟はトリューニヒトを国家主席とする政治体制は変わらず、功労者ヤン・ウェンリーがイゼルローン要塞の司令官として防壁の役割を「押し付けられて」いました。

そんな中、哨戒に出ていた帝国軍の小艦隊が、こちらも訓練中だった同盟軍アッテンボローの小艦隊と遭遇し、艦隊戦に突入します。

精鋭揃いの帝国軍に対し、新兵ばかりの同盟軍。戦いの帰趨は、経験の差からすれば明らかでしたが、「ヤン艦隊」という名声が帝国軍の全面攻勢をためらわせていました。

そんな中、艦隊の艦載機(一人乗りドッグファイト用の小型戦闘機。同盟軍ではスパルタニアンと呼ばれる。帝国軍ではワルキューレ)が出撃する場面があります。接近戦になった際に、艦隊では埋めきれない宇宙の隙間を制圧し、近すぎて有効射程外になりがちな艦砲以外の艦船破壊手段を確保するためです(制宙権を確保する、という言い方がなされます)。

この艦載機によるドッグファイトの同盟軍側の天才が、オリビエ・ポプランです。彼はヤン艦隊の第一飛行隊の隊長ですが、これから初めてドッグファイトに挑む新人パイロット達に、次のような貴重な言葉を伝えています。※新人パイロット達の中には、初陣となるユリアン・ミンツ(ヤンの被保護者)も含まれていました。

「俺は空戦の天才だ。しかし、俺のような天才は、帝国軍にはいない。お前たち、運がいいぞ。…お前らひよっこは三機一組で一機を袋叩きにする、それが基本だ。わかったか」。

オリビエ・ポプラン「お前らひよっこは三機一組で一機を袋叩きにする、それが基本だ」(本伝第27話)
『銀河英雄伝説』DVD 本伝第27話 (C) 田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっふ・サントリーより引用

ここでの学びは、教わる側の立場を踏まえて基本を教えてくれる人を大切にする、ということだと思います。

ポプランのこの言葉は、新人パイロット達に様々な意味で希望の光を与えています。彼は、以下のようにいくつもの教えを同時に新人たちに伝えていると思います。

1つ目の教え:敵にポプラン以上の能力の持ち主がいないこと=自分達が教わった世界以上のものは無いということ

2つ目の教え:背伸びして無理をする必要がないということ

3つ目の教え:基本を守れば生き残れる可能性が高いこと、そして、そう伝えることで逸脱行為を戒めていること

それは天才にありがちな、「できない理由が分からない」といった突き放す姿勢ではなく、素人である新人達の側に立った姿勢であり、彼らでも分かる言葉で必要十分な内容を伝えるものでした。

後々ポプランは教師を志すことを口にしますが、実際教える力に富んだ人物だったようです。色々な意味(特に女性関係)で素行は良くなかったですが。

こういった人物を師匠にできれば、その人の仕事人生は半分成功したようなものです。自身の素養と仕事がよほどズレていない限り、気づかないうちに、ある程度のところにまでたどりつけると思います。

問題は、ポプランのような教える側の素養を備えている人間が少ないことです。特に業績を上げている人ほど、「できない理由が分からない」人が多いと思います。教えを乞う先達は、慎重に選ばないといけない、そんなことを考えさせられる一言でした。

ちなみに、帝国軍でも教えるのが上手な人がいます。帝国軍の双璧の一人、ミッターマイヤー提督です。彼の旗下にいる提督達(バイエルライン、ドロイゼン、ジンツァー達)はメキメキと頭角を現し、同盟軍のアッテンボロー達と互角の戦いを繰り広げます。他方で、もう一人の双璧、ロイエンタールは旗下の提督に恵まれなかったこともあるでしょうが、ミッターマイヤーほど伸びた人はいなかったように思います。

2021年9月12日日曜日

ウォルフガング・ミッターマイヤー「今までうまく運んでいたものを、理屈に合わないからといって無理に改めることはあるまい」(本伝第25話)

銀河帝国においてローエングラム侯ラインハルトとキルヒアイスの関係悪化にオーベルシュタインが拍車をかける中、未来の帝国軍の双璧、ミッターマイヤー提督とロイエンタール提督は、トランプのポーカーで勝負をしていました。

結果はどちらも同じ手だったのですが、ミッターマイヤーがジャックの3カードだったのに対し、ロイエンタールはクイーンの3カードで、ロイエンタールの勝ち。ミッターマイヤーは男性人気が高く、ロイエンタールは女性人気が高いので、それを反映したかのような結果であり、それはミッターマイヤーの「相変わらずご婦人に好かれるようだ」との一言に集約されています。

さて、ポーカーの激戦の最中、二人の間でキルヒアイスの件が話題に上がります。オーベルシュタインがナンバー2不要論を持ち出して、実質ナンバー2の立場にあるキルヒアイスの相対的な影響力を下げようと画策している件は、二人にとっては既成事実でした。

ここでミッターマイヤーがロイエンタールに呟いた大人の一言が、「今までうまく運んでいたものを、理屈に合わないからといって無理に改めることはあるまい。ことに、それが人間関係のことならば」でした。

ウォルフガング・ミッターマイヤー「今までうまく運んでいたものを、理屈に合わないからといって無理に改めることはあるまい」(本伝第25話)
『銀河英雄伝説』DVD 本伝第25話 (C) 田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっふ・サントリーより引用

ここでの学びは、理屈に合わなくても放っておくほうが良いことも多い、という点です。

オーベルシュタインは自身の理論を貫くため、ラインハルトに半ば強制的にキルヒアイスとの関係を改めさせようとしました。(これは、従ってしまったラインハルトの方に大きな問題があると思いますが)。単純化すると、オーベルシュタインの頭の中は、以下のような構成になっていると思います。理屈と整合していたら結果は良く、整合していなかったら結果は悪い、はずだ。白黒はっきりしていますし、正しいプロセスを取れば良い結果が出ると考えます。何かを判断する際に非常に役立つ考え方です。

オーベルシュタインの
考え方
結果
良い悪い
理屈との
整合性
あり100%0%
なし0%100%

しかし、ミッターマイヤーが言うように、世の中は理論的に正しければうまくいくというわけではありませんし、理論的には間違っていてもうまくいくことが多くあります。つまり、以下の表のようになるのが現実だと思います。

現実
結果
良い悪い
理屈との
整合性
あり50%より高い50%より低い
なし50%より高い50%より低い

理屈に合っていても、せいぜい成功確率が少し上がる、という程度という考え方です。ミッターマイヤーがこのような大人の考え方ができるのは、本人の資質もありますが、理屈で考えて正しく行動できたとしても、成功確率自体にはそれ以外の要素が大きく絡んでくる、ということを、実戦を通じて身をもって知っていたということに尽きると思います。その辺りが、オーベルシュタインや「理屈倒れ」のシュターデン提督と一線を画すところでしょう。

オーベルシュタインは新銀河帝国の時代にもラインハルトの下で名参謀として活躍しますが、この時ばかりは早計に過ぎたのではないかと思います。

2021年6月6日日曜日

ヒルデスハイム伯爵「これで敵が動かぬ理由に合点がいくではないか」(本伝第20話)

貴族連合軍(リップシュタット連合軍)の作戦会議で総司令官メルカッツが(色々な理由から)出撃を認めたため、新皇帝を擁立するローエングラム侯爵ラインハルトと貴族連合軍は、内乱勃発後、初めて戦火を交えることになりました。

ローエングラム侯爵側の指揮官は、ウォルフガング・ミッターマイヤー中将。アムリッツァ星域会戦で、自軍の進行速度が速すぎて自由惑星同盟の第9艦隊を追い抜いてしまったため、「疾風ウォルフ」というあだ名がついた有能な提督です。(もっとも、個人的には、アムリッツァでの彼の作戦は実は失敗だったんじゃないかと思います。どこにも語られていませんが、第9艦隊は司令官アル・サレム提督が重傷を負うものの、後を継いだモートン提督は秩序をもって撤退できているためです。恐らく、スピードを出しすぎて止まれなかったせいで、攻撃のタイミングが理想から一歩遅れたのではないでしょうか)。

一方、貴族連合軍側は、「理屈倒れの」シュターデン提督を筆頭に、貴族提督のヒルデスハイム伯爵という陣営でした。

両陣営は、ミッターマイヤーが敷設した機雷群(熱反応型・自律移動型ですので、艦隊が近くを通ると餌食になります)を挟んで、数日間にらみ合いを続けます。疾風ウォルフの艦隊なのに、全く動かない。シュターデンは「罠がある」と見込みますが、経験のないヒルデスハイムはそうは思いません。そこに、丁度よくミッターマイヤー側の通信を盗聴できた旨が、シュターデンとヒルデスハイムの下に伝えられます。曰く、「ミッターマイヤーはローエングラム侯爵の援軍を待っている」、と。

これにヒルデスハイム伯は意気込みます。すなわち、「これで敵が動かぬ理由に合点がいくではないか」ということです。もちろん、これはミッターマイヤーの策略でした。シュターデンの方は「こんなに簡単に傍受できるのはおかしい」と、真実を突くのですが、ヒルデスハイム伯爵の勢いに負けて動いてしまい、貴族連合軍は初戦で大敗するのです。

ヒルデスハイム伯爵「これで敵が動かぬ理由に合点がいくではないか」(本伝第20話)
『銀河英雄伝説』DVD 本伝第20話 (C) 田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっふ・サントリーより引用

ここでの学びは、自分の狭い料簡と見た目だけで都合よく判断してはいけない、ということです。

ヒルデスハイム伯爵は、艦隊戦の経験がありません。そのため、「敵が動かない」→「援軍を待っているという連絡が入った」→「援軍が来る前に戦わないと負ける」、という、超短絡的な考え方をしてしまいます。自分の願望(「戦いたい」)を正当化するため、都合よく目の前の事象を解釈していると言えます。一番やってはいけないことです。ヒルデスハイム伯爵のここでの最もあるべき姿は、自身の経験不足を素直に認め、事実を客観的に観察し、自身の短絡的な考えを批判的に再考する、ということでした。しかし、当時のゴールデンバウム朝貴族は、もっぱら「自分が絶対正しい」から思考がスタートしますので、自身の考えを批判的に見るなんて、そもそも不可能でした。残念ながら。

ビジネスの世界でも、これはよくあることだと思います。私自身もそうです。根拠のない自信というか、自分の知らない世界があることを「知らない」ということの恐ろしさに、気づいていない時代というものが、誰にもある、ということだと思います。(一言で言うと、「若気の至り」です)。

そして、もう一つの学びは、知りすぎると逆に判断できない、ということです。

シュターデン提督は、経験はそこそこで、艦隊戦の知識は豊富です(恐らく、帝国軍の中で一番だと思います)。そして、「(疾風ウォルフなのに)敵が動かない」→「何か策略がある(可能性が多すぎて決めきれない)」→「都合のよい通信が傍受できた」→「何か策略がある(やっぱり見極めきれない)」と、知識が豊富であることが逆に仇になり、選択肢が豊富に浮かびすぎて、決断できませんでした。最終決断ができたのは、皮肉にも、ヒルデスハイム伯爵が自身の浅はかな考えを押し付けてきたからです。

そう考えると、この二人、実はひとつ間違えると理想の組み合わせだったかもしれません。メルカッツ総司令官の副官シュナイダーは、彼らを「現実感覚に欠けるシュターデン提督と血気にはやるヒルデスハイム伯」と酷評していますが、もしシュターデンが理論重視であっても手堅い作戦案をいくつか立て切ることができて、ヒルデスハイムが実行を後押し出来ていたら、どうなっていたか。戦術面の巧拙がありすぎるため、貴族連合軍が勝ち切ることはなかったでしょうけど、もしかしたら善戦していたかもしれません。

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