銀河帝国においてローエングラム侯ラインハルトとキルヒアイスの関係悪化にオーベルシュタインが拍車をかける中、未来の帝国軍の双璧、ミッターマイヤー提督とロイエンタール提督は、トランプのポーカーで勝負をしていました。
結果はどちらも同じ手だったのですが、ミッターマイヤーがジャックの3カードだったのに対し、ロイエンタールはクイーンの3カードで、ロイエンタールの勝ち。ミッターマイヤーは男性人気が高く、ロイエンタールは女性人気が高いので、それを反映したかのような結果であり、それはミッターマイヤーの「相変わらずご婦人に好かれるようだ」との一言に集約されています。
さて、ポーカーの激戦の最中、二人の間でキルヒアイスの件が話題に上がります。オーベルシュタインがナンバー2不要論を持ち出して、実質ナンバー2の立場にあるキルヒアイスの相対的な影響力を下げようと画策している件は、二人にとっては既成事実でした。
ここでミッターマイヤーがロイエンタールに呟いた大人の一言が、「今までうまく運んでいたものを、理屈に合わないからといって無理に改めることはあるまい。ことに、それが人間関係のことならば」でした。
ここでの学びは、理屈に合わなくても放っておくほうが良いことも多い、という点です。
オーベルシュタインは自身の理論を貫くため、ラインハルトに半ば強制的にキルヒアイスとの関係を改めさせようとしました。(これは、従ってしまったラインハルトの方に大きな問題があると思いますが)。単純化すると、オーベルシュタインの頭の中は、以下のような構成になっていると思います。理屈と整合していたら結果は良く、整合していなかったら結果は悪い、はずだ。白黒はっきりしていますし、正しいプロセスを取れば良い結果が出ると考えます。何かを判断する際に非常に役立つ考え方です。
しかし、ミッターマイヤーが言うように、世の中は理論的に正しければうまくいくというわけではありませんし、理論的には間違っていてもうまくいくことが多くあります。つまり、以下の表のようになるのが現実だと思います。
理屈に合っていても、せいぜい成功確率が少し上がる、という程度という考え方です。ミッターマイヤーがこのような大人の考え方ができるのは、本人の資質もありますが、理屈で考えて正しく行動できたとしても、成功確率自体にはそれ以外の要素が大きく絡んでくる、ということを、実戦を通じて身をもって知っていたということに尽きると思います。その辺りが、オーベルシュタインや「理屈倒れ」のシュターデン提督と一線を画すところでしょう。
オーベルシュタインは新銀河帝国の時代にもラインハルトの下で名参謀として活躍しますが、この時ばかりは早計に過ぎたのではないかと思います。
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