銀河帝国で皇帝崩御に伴う大規模な内戦が勃発しようとしている頃、自由惑星同盟ではラインハルトが送り込んだスパイ、アーサー・リンチ元同盟軍少将によるクーデター計画が着々と進められていました。
その作戦の手始めとして狙われたのが、シドニー・シトレ元帥の後任となったクブルスリー統合作戦本部長です。宇宙艦隊司令長官となったビュコック大将が「分かった人物」と評したように、華々しい武勲はないものの、まともな人物だったと思います。
そのクブルスリー大将の前に現れたのが、アムリッツァ星域会戦の作戦を立案したフォーク准将です。フォークは病気療養中でしたが、軍への早期復帰をクブルスリーに願い出ます。そのフォークに対するクブルスリーのカッコいい返答が、「私の権限は手順を守らせるためにあるのであって、破らせるためにあるのではない」です。ここまでは良かった。
今回の一つ目の学びは、権限のあるべき姿をリーダーが守る、という点です。クブルスリーのこの言葉は全くその通りですが、世の中のリーダーは、実は自分から手順を破っていることが多いのではないでしょうか。アムリッツァ星域会戦の作戦案が評議会を通ったのも、自由惑星同盟のリーダーたる評議会議長が手順を無視したからです。ビジネスの世界でも、自分は手順を破るのに、部下には押し付ける人がいます。また、自分も部下にも手順破りを容認している人さえいます。そんな世の中で、クブルスリーのこの一言は、非常にまともで価値のある一言だったと思います。
もう一つの学びは、リーダーはリスクを最大限気にするべし、という点です。ここの場面、脇が甘いとしか言えないことが満載なことにお気づきでしょうか。フォーク准将は病気療養中のため、そもそも統合作戦本部に入場する権限はなかったと思われます。しかし、彼は簡単に中に入り、しかも統合作戦本部長と直接会話できてしまっています。リスク管理をしっかりしていれば、そんな場面は起こりえなかったはずです。また、クブルスリーを守るはずのSP達は、守るどころか遠巻きに事の次第を見守っています。クブルスリー自身も、フォークの登場を全く不審に感じることなく受け入れ、しかも説教することに集中しすぎてブラスターを抜かれるまで行動できませんでした。
クブルスリー本人というより、自由惑星同盟の軍部自体が緩んでいたのだと思いますが(また、そこにうまく付け込んだクーデター側のファインプレイとも言えますが)、リーダーと取り巻きがこんな杜撰なリスク管理をしていると、敵の思う壺に簡単に嵌ってしまう、本件はその好例だと思います。
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