2021年3月28日日曜日

ジークフリード・キルヒアイス「(怒りは)あなた自身にむけられたものです」(本伝第16話)

自由惑星同盟軍が撤退を成功させた後、銀河帝国軍の各提督達は、総司令官ラインハルトの待つ総旗艦ブリュンヒルトに集結します。そこでラインハルトは各提督をねぎらうのですが、みすみすヤンを取り逃してしまったビッテンフェルトに対しては、強く叱責します。「沙汰が決まるまで自室で謹慎せよ」。

その場では(怖くて)誰も何も言えなかったのですが、腹心のキルヒアイス提督は、場が解散した後にラインハルトの後を追い、問いただします。「何に対して怒っているのですか?」と。そして、ズバリ「(怒り)はあなた自身に向けられたものです。まんまとヤン提督に名を成さしめたあなたに」と核心を突きます。

それはその通りで、ビッテンフェルト艦隊の層が薄くなっているのを分かっていながら、ケアをしなかったのはラインハルトの落ち度だと思います。

ジークフリード・キルヒアイス「(怒りは)あなた自身にむけられたものです」(本伝第16話)
『銀河英雄伝説』DVD 本伝第16話 (C) 田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっ ふ・サントリーより引用

ここでの学びは、意見してくれる人を大切にする、ということです。この段階でラインハルトはすでに帝国元帥にまで上り詰め、銀河帝国を手に入れる一歩手前まで来ていました。尊大になるな、というのも無理な話ですが、部下の扱いはやや雑になっていたように思います。そこに、適切なタイミングでキルヒアイスから助言が入り、色々なものをラインハルトは取り戻します。ここでもし誰も何も意見しない(あるいはできない)状況に陥っていたら、ラインハルトは最終的に勝利することはなかっただろうと思います。

ビジネスの世界でも同様で、口うるさく意見してくる上司や部下は、面倒なので遠ざけてしまいがちです。しかし、何も意見を受けないままに、自分の判断だけで進まざるを得ない状況は、とても孤独でリスクが多いものだと思います。それを避けるためには、キルヒアイスのような、信頼ができて、保身のために発言しない人間が誰かを見極め、常に意見が聞けるようにしておくことです。

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