2021年2月13日土曜日

ジェシカ・エドワーズ「私、うぬぼれていたの」(本伝第10話)

イゼルローン占領後、ヤンは中将に昇進し、出身校である士官学校の創立記念日祝典に招待されます。そこで再会したのが、反戦運動に身を投じた学生時代の友人、ジェシカ・エドワーズでした。ジェシカはアスターテ会戦における婚約者ラップ少佐戦死後、代議員補欠選挙に名乗りを上げたソーンダイク氏の反戦運動に参加していました。

ヤンとジェシカは、士官学校内の大きな木のもとで、ダンスパーティで一緒に踊った過去を思い出します。当時、ヤンはダンスの準備もせず失敗ばかりで、(おそらく入念に準備した)ラップに良いところをすべて持っていかれてしまった、少なくともヤン自身はそう思っていました。そして、ジェシカがラップを選ぶのも、当然だと。

しかしながら、ジェシカが思い出に浸りながら発した言葉は、意外なものでした。「私、うぬぼれていたの。もう一度あなたがダンスに誘ってくれると思っていたの。でも…誘ってくれなかった」。本伝以外に外伝も読んだり見たりすると、うっすら分かってくるのですが、恐らくジェシカとヤンは両想いだったのだろう、と思います。

ジェシカ・エドワーズ「私、うぬぼれていたの」(本伝第10話)
『銀河英雄伝説』DVD 本伝第10話 (C) 田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっ ふ・サントリーより引用

ここでの学びは、ヤンの側からすると、「失敗と決めつけない」ということだと思います。恋愛でもビジネスでも、自分ではダメだと思ったことが、意外な好印象を相手に与えていることがあると思います。何事も、自分主観だけでなく、可能性を捨てきらないことが大切では、と思います。もっとも、時として「諦めが肝心」ということも多いのですが。

ジェシカ側からの学びは、逆に「勝てると決めつけない」ことだと思います。ジェシカは当時、周囲の学生たちからは高嶺の花でした。うぬぼれ、というほどではないと思いますが、ヤンの気持ちにも多少なりとも自信があったのでは、と思います。しかし、ヤンは友情を優先し(あるいは勇気がなく)、ラップに譲ってしまいました。もしジェシカ側がアクションを取っていれば、結末は変わったのだろうと思います。

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