要塞への侵入という最重要任務に、過去幾人もの連隊長が帝国軍に寝返った白兵戦部隊ローゼンリッター連隊を、敢えて用いたヤン。理由は、トリューニヒト閥の将校に絡まれていたウェイトレスを助けた連隊長シェーンコップに、「コーヒーの一杯でも奢りたくなった」ということですが、それでは周囲の幕僚たちは完全に納得はしてくれませんでした。ローゼンリッター連隊自体が、銀河帝国からの亡命者で成り立つ白兵戦集団であることから、常に不信感を持たれる存在であったことは確かだと思います。
イゼルローンに潜入したシェーンコップ達から連絡が途絶えてしまうと、ムライ参謀長は「裏切っているのでは」といぶかります。そこに切り返したヤンの一言が、「シェーンコップを信じるのはこの作戦の前提。だから最後まで信じてみることにするさ」でした。
ここでの学びはやはり、一度任せたら最後まで信じきる、ということではないでしょうか。それが、信じてもらった側のモチベーションや信頼感に大きく繋がるのだと思います。
そして、現在声高に叫ばれているダイバーシティを、30年前の小説のヤンが見事に実現していることも、特筆すべきだと思います。この後、ヤンは帝国から亡命してくるメルカッツ提督も厚遇しますが、ヤンの元には実に様々なバックグラウンドや価値観を持つ人材が集まってきます。彼らを有機的に連係させることで、ヤン艦隊の無敗神話が成り立っているのだと思います。
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