本伝第4話では、帝国軍元帥になったラインハルトと腹心ジークフリート・キルヒアイスの絆について、少年時代のエピソードを踏まえて語られています。彼ら2人は、皇帝の側室として迎えられたラインハルトの姉アンネローゼを取り返すため、皇帝を超える権力を得るために戦っているのでした。
そして、キルヒアイスがなぜラインハルトの影として付き従うことになったのか、その答えのひとつが、この場面、初対面でのアンネローゼの一言にあると思います。
『銀河英雄伝説』DVD 本伝第4話 (C) 田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっ ふ・サントリーより引用
これまであったこともない美人の年上女性から、自分の髪の毛に触れながらお願い事をされる。この瞬間、(異論はあると思いますが)キルヒアイスは恋に落ち、かつ自分の身をかけてでも守るものができてしまう。思春期の男の子にはとても有りがちな場面だと思います。
ただ、普通は年齢を重ねて成熟するにつれ、こういう子供の頃の約束は忘れてしまうものですが、キルヒアイスの生来の純粋さと優しさ、戦乱の世の中、ラインハルトの能力、アンネローゼの美しさなどが重なり、決意がむしろ強固なものになっていったのだと思います。
本件、アンネローゼに悪気はなく、キルヒアイスを陥れる気はなかったと思うのですけれども(といいつつ、途中からは薄々キルヒアイスの気持ちに気づいていたんじゃないかと思いますが)、このシーンを見返すたびに、「何気ない一言が、他人の人生を変えてしまいかねない」ということを思い起こしてしまいます。
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