シトレ元帥(元校長)の含蓄ある言葉が続きます。このシーンは学ぶことが多いです。
野心あふれるフォーク准将は軍の最高位に就くことを狙っていて、目下の強力過ぎる「ライバル」よりも優れた功績を残すことが必要でした。そこで、今回の(無謀すぎる)大遠征を企てたのですが、その「ライバル」が他ならぬ自分であることを、ヤンはシトレから告げられます。
「私にそんなつもりは…」と返すヤン。彼には、確かに全く出世欲はありません。この会議の少し前、イゼルローン要塞奪取に成功後、辞表を出して軍を辞めようとしていましたから。しかし、シトレは「君がどう思っているかではない。フォークが君をどう思っているのかが大事なのだ」と諭すのです。
『銀河英雄伝説』DVD 本伝第12話 (C) 田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっ ふ・サントリーより引用
ヤン自身は出世するつもりがなくても、相手はそうは思わない。フォークは自身の価値観で自分勝手に相手の像を作り上げてしまい、その相手を敵とみなして対抗しようとしていました。彼の常識では、出世を望まない軍人はいないのでしょう。しかしながら、これは、何もフォーク准将に特有の思い込みというわけではないと思います。現代社会でも、しばしば発生する事象ではないでしょうか。
また、人間は結局自分自身のことしか分からないわけですが、自分のことを頭が良いと思っている人ほど、相手のことが分かると勘違いする傾向にあるのではないか、と思います。
ここでの学びは、自分の常識は相手の非常識である可能性があること、そして自分の常識だけで相手の好意/敵意を測ることは非常に危険であること、この二つだと思います。
このフォーク准将の自分勝手な敵意は、かなり後になってからですが、銀河英雄伝説の最大の悲劇を生み出すことになります。
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