自由惑星同盟軍は、銀河帝国に対する国家開闢以来の大攻勢を企図しますが、宿将達が集まった作戦会議の場で、フォーク准将の「行き当たりばったり」な作戦案を覆せる人は出てきませんでした。作戦案に異議を唱える発言を、フォークがあの手この手で封じてしまったため、誰もまともな発言をしなくなったからだと思います。
会議の後、その場に残っていたヤンに対し、統合作戦本部長シドニー・シトレは、フォーク准将のやり方に不満を表しながら、「他者を貶めて、自分を偉く見せようとする。しかし、自分が思っているほど才能などないのだ」とフォークを切り捨てます。
フォークのように、自身が努力するのではなく、誰かを貶めることで自分をより高く見せ、生き残ろうとする人間は、どこにでもいると思います。私の会社にも、そういった人がいます。一緒に仕事をしていると、「いつ自分が貶められる立場になるのか」と怖くなることがあります。特に、実力に比してプライドが高いタイプの人に、そういう傾向が見られるように思います。ここでの学びのひとつは、もちろん、相手を貶めるタイプからは距離を置く、ということです。
そして、もう一つの学びは、シトレの人を見抜く目と抜擢する手腕です。彼の人物評価は非常に鋭い。この後、彼は軍隊を引退しますが、もともとは士官学校の校長でした。そして、彼の校長時代には、ヤンやアッテンボロー、そして恐らくキャゼルヌといった、今後の自由惑星同盟軍を担うコアメンバーが士官学校を巣立っていきました。彼らを見出し、導き、そして引き上げた手腕は相当なものだと思います。思うに、シトレのような校長および上官がいたからこそ、(腐敗しつつあったものの)自由惑星同盟軍は異才に恵まれたのだと思います。そういう意味で、シトレの卓越した人物評は、学ぶことの多い題材だと思います。
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