銀河帝国でブラウンシュヴァイク公爵率いる門閥貴族達がローエングラム侯ラインハルトの下に敗北したのとほぼ同じ頃、自由惑星同盟のクーデターも終結に向かっていました。
ルグランジュ提督の第11艦隊を失い、首都星ハイネセン以外の援軍もなく、日々孤立感を深めているところに、ヤン・ウェンリー率いる第13艦隊から「クーデターは銀河帝国のローエングラム侯の策略」という寝耳に水のアナウンスが全土に流れます。(ちなみにこのアナウンスを流したのは、元クーデター派のバグダッシュです)。
このアナウンスには、グリーンヒル大将始め「真面目に」クーデターに取り組んでいた人々にとって驚き以外の何物でもありませんでした。彼らは自らの意思でクーデターを起こしましたので、「銀河帝国の差し金」と言われるのは、あからさまな侮辱でした。
しかし、このクーデター計画を持ち込んだアーサー・リンチは、ヤンの言葉が「事実」であることを知っていました。そして、言わなくてもいいのに、グリーンヒル大将他、クーデター派の将校の皆の前で、「ヤンが言っていることは全て真実」と暴露してしまいます。
グリーンヒル大将達にとって、このシーンは二度ビックリの大ドンデン返しです。祖国のために頑張っていたのに、実は敵国の片棒を担いでいたのですから。当然、リンチにこう聞きたくなります。「なぜこんなことをしたのか?帝国の将軍にしてやるとでも言われたのか?」。その当然な問いに対する超意外な答えが、これです。
「別に誰でもよかったが、自分の正しさを信じて疑わない奴に、弁解のしようのない恥をかかせてやりたかったのさ」
ここでの学びは、未来も良心も守るべきものも捨てた人間に絶対近づいてはいけない、ということです。
グリーンヒル大将は軍部で数少ない良識派であり、まともな人間と付き合っていれば、まともな人生を享受できる人だったと思います。反逆者の汚名を着せられて殺されるような、悲惨な人生を終わり方をすべき人では決してありません。
しかし、彼は傍に置く人物を間違えてしまいました。
アーサー・リンチのように、自分の未来がなくてもよい、と思い切ってしまった人間には、恥も外聞もありません。今死んでも良いわけですから、生きていく上で本来気にかけていくべき周囲の評判や好意を求める必要がないからです。また、彼は過去の事件(ヤンがエル・ファシルの英雄となった事件)の経緯から、「卑怯者」のレッテルを貼られていました。その結果、守るべきものである家族とともに、本来持っていたはずの良心も失ってしまいます。
守るものがなく、他人の目が気にならず、良心も捨てて卑怯に徹することのできる人間は、ある意味最強だと思います。今風に言うと、後天的なサイコパスなのだと思います。
そういう意味では、同じくグリーンヒル大将が傍に置いたフォーク准将より更に厄介です。フォーク准将は自意識超過剰の人物ですが、他人の評価は気にします。故に、とことんまでの卑怯にはなり切れませんし、感情もあります。フォーク准将の考え方は、量的に激しいものの、まともな人間にとって全く理解不能ではないと思います(異常ではありますが)。
しかし、リンチは違います。彼の考え方は、まともな人間には理解不能です。そして、未来も守るべきものも良心もある人間にとって、彼は天敵です。今回も「自分の正しさを信じて疑わない奴に、弁解のしようのない恥をかかせてやりたかった」という理解不能な理由で、グリーンヒル大将以下多くのまともな人間が、その人生を狂わされてしまったのです。
( ・ω・)あー、学び?
返信削除リンチさん、ココロの師匠だし、アタシも似たタイプだから良くわかるのだが
学ぶべき箇所が違わねえ?
順番を間違えた、正しそうに思えるもの
信念で貫いてみたら、弁解のしようもない恥をかく
事は、誰にでも起こりうる、じゃねえかな?
( ´Д`)てか、自分は前線にでないクソ遠征の発案者は
返信削除普通にトコトンまでの卑怯者とやらだと思うのだが、違うのかしら?
サイコパスって表現をポンコロ使うのも歓心しないが
フォーク兄貴はちがうのかしら?
大した学びだねえ