自由惑星同盟軍は、補給路を断たれた後に帝国軍艦隊に急襲され、どの艦隊も苦戦の中にありました。善戦して艦隊を維持しているのは、ヤンの第13艦隊、ビュコックの第5艦隊、アップルトンの第8艦隊ぐらいで、残りの第3、第7、第9、第10、第12艦隊は壊滅的な被害を被っていました。※アップルトン艦隊が生き残っていたのは、本人の能力という面もありますが、相手がそれほど好戦的ではない芸術家提督メックリンガーの艦隊だったからだと、個人的には思います。
総参謀長のグリーンヒル大将は、各艦隊の状況を鑑み、被害拡大をこの段階で食い止めるため、全面撤退を総司令官ロボス元帥に具申します。「我々は、敵に乗せられたのです。この上は、イゼルローン要塞に早急に撤退すべきです」。
しかし、ロボス元帥の答えは、意外なものでした。「全艦、アムリッツァ星域に集結せよ」。この後に及んで、まだ戦いを続ける、という判断でした。「このまま引き下がるわけにはいかんのだ」。
ここでの学びは、率いる人間の器量で勝敗が決まる、ということだと思います。同盟軍の失敗は、このロボス元帥を総司令官にしたことでしょう。というより、彼やフォーク准将のような人間が、重職についてしまうという構造自体が、組織的欠陥なのではないか、と思います。ビジネスなどの現実世界で、部下として同じ状況に遭遇したら、とにかく身を守って生き残ることを重視すべきだと思います。
もう一つは、こぼしたミルクは戻らない、ということです。損切り、という言葉がありますが、同盟軍はここで損切りして撤退すれば、少なくとも3つの艦隊は無事に帰還でき、残りの5艦隊も半数程度は生き残れたのではないでしょうか。しかし、ここで戦いを続ける判断をした結果、生き残った艦隊は第5、第13艦隊の2つのみになってしまいました。いわゆるサンクコスト(埋没費用。ここまでに犠牲にしたコスト)にとらわれてしまい、また「メンツ」にこだわってしまったが故に、大事な判断を誤ってしまったのです。
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