前線に補給物資を届けるはずの輸送船団が、帝国軍に殲滅させられてしまい、物資が枯渇した占領地は窮地に立たされます。自分たちが食べる物も徐々に尽きていく中、ヤン・ウェンリーとウランフ、そしてビュコックら、まともな判断力をもつ提督達は、作戦本部に撤退を申し入れます。このままの状態で帝国軍に急襲されれば、ほぼ確実に敗北するからです。
しかしながら、作戦参謀のフォーク准将は、「私なら撤退などしません」と、彼らの申し入れを一蹴します。実戦経験のないフォーク准将は、前線から離れていたこともあり、状況の切迫度が理解できませんでした。そして、この一言は歴戦の将ビュコックの堪忍袋を切ることになります。
「他人に命令するようなことが自分にはできるかどうか、やってみたらどうだ!」
ここでの学びは、自分にできないことができる存在に対する敬意(リスペクト)の必要性、だと思います。フォーク准将は自身の経験不足を自覚しようとせず、経験豊富な前線の意見を一蹴しました。その結果、同盟軍は多く兵士の命と有能な将軍を失ってしまい、亡国への道を突き進むことになります。
極論すると、ここでフォーク准将が判断を誤ったことが、自由惑星同盟という民主主義国家の滅亡のきっかけになったとも言えます。※これだけが原因ではなく、フォークのようなイケてない存在が、遠征軍の作戦参謀という極めて重要な役割に就けてしまう世の中になってしまったこと、そのこと自体、問題なのだと思います。
また、このシーンを見た多くの方が、フォーク准将に対しネガティブな印象を受けたと思います。彼の振る舞いは、ジェシカに「(戦争を賛美する)あなたはどこにいます?」と問いかけられ、回答に窮したトリューニヒトと同様に、口先だけで行動をしない人間、そして他人を平気で死地に陥れる人間がいかに醜く見えるか、ということを象徴的に表していると思います。
もちろん、ビジネスの世界でも同様です。ただ、難しいのは、口先だけの人間は得てして、自分のことを「有言実行の人間」だと相手に思い込ませるのが得意だ、という点です。相対する側に、見抜く力が備わっていないといけません。
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