銀河英雄伝説では、銀河帝国の門閥貴族たちはラインハルトとキルヒアイスの敵役として描かれ、必ずしも好意的な役回りを与えられていません。しかしながら、たまに人生を生きる上で有益なことを言う人がいます。この第11話で影の主役となるフレーゲル男爵もその一人です。
この回では、現在の皇帝の愛妾、グリューネワルト伯爵夫人(ラインハルトの姉アンネローゼ)と、かつての愛妾ベーネミュンデ侯爵夫人の争いが描かれています。フレーゲル男爵は、侯爵夫人を操ってアンネローゼおよびラインハルトを表舞台から消し去ろうと企てます。
フレーゲルはベーネミュンデ侯爵夫人に「あの女がいなくなれば、皇帝陛下は再びあなたのものになる」という主旨の言葉をささやくのですが、その言葉は皇帝陛下の寵愛をなんとしても取り返したい侯爵夫人の心をしっかり捉えることに成功しました。フレーゲルは侯爵夫人にとって、希望を叶える救世主になったのです。
ベーネミュンデ侯爵夫人を傀儡化した帰り道で、フレーゲルが部下に呟いた言葉が、「太陽が沈まぬうちに、沈むことのないよう手を打っておくものだ。このようにな」です。ベーネミュンデ侯爵夫人を「一度沈んだ太陽が、再び上ると思っている」と評した後に、今後の災いを消し去ろうとしている自身の抜け目なさとを比較して発した言葉です。
『銀河英雄伝説』DVD 本伝第11話 (C) 田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっ ふ・サントリーより引用
敵役のフレーゲル男爵が発言すると少し陰鬱でネガティブな印象を与える言葉になってしまいますが、非常に含蓄ある言葉だと思います。学びは「余力のあるうちに次に備える」ということです。それが、ビジネスでも人間関係でも、長続きする秘訣なのではと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿