2021年1月31日日曜日

パエッタ中将「不明な以上、望みはある」(本伝第1話)

ラインハルトとは逆に、反面教師にすべき一言が、自由惑星同盟軍第2艦隊司令官パエッタのこの一言です。

先に述べたように、アスターテ会戦で、自由惑星同盟は2倍の艦隊(40000隻)で帝国軍を3方向から包囲殲滅しようとしており、圧倒的有利なはずでした。しかしながら、戦争の天才ラインハルトにより、3つに分けた艦隊(第2艦隊、第4艦隊、第6艦隊)のひとつ、第4艦隊が急襲され連絡も途絶してしまいます。

この時点では、まだ同盟軍の有利は覆ってはいません。第4艦隊(13000隻)を失っても、数の上では27000隻 対 20000隻。五分以上です。そして、それは同盟軍の幕僚、ヤン・ウェンリーからも指摘されていました。今、第4艦隊を見捨てて第2・第6艦隊が合流すれば、勝てる。しかしながら、パエッタは判断を誤り、持ちこたえているかどうか不明な第4艦隊の救援に向かってしまいます。そして、同盟軍は惨敗するのでした。

パエッタ中将「不明な以上、望みはある」(本伝第1話)

『銀河英雄伝説』DVD 本伝第1話 (C) 田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっ ふ・サントリーより引用

このケースは、根拠のない楽観論が身を亡ぼす典型だと思います。2倍近くの敵に奇襲されても、持ちこたえてくれているだろう、連絡はないが、だからこそ負けているとは限らない、という、文字にして客観的に見ると極めて可能性の低い方に賭けてしまったことが分かります。しかも、第三者(この場合、ヤン・ウェンリー)から、適切な助言を受けているにもかかわらず、です。

ここから学ぶべきことは、遭遇したことのない場面に出くわして判断に迷う場合、自分が近視眼的な思考に陥っている可能性をまず考えないといけない。一度状況を客観的に俯瞰して、過去の常識を忘れないと、判断を誤るかもしれない。そして、自分を俯瞰してみてもらえる助言者という存在がとても大事だ、ということだと思います。

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